森下くんは弦楽器作家
丘峰喫茶店のマスター(私の夫)森下諒平さん(33)の本業は、弦楽器の製作家です。
学生時代、新聞奨学生として寮で暮らし、朝夕と新聞配達をしながら大学へ通ううちに「自分で学費を稼いでまで学びたいことを今学べているのか」と疑問に感じ、昔から好きだったものづくりの道へ進むことを決意。ギター製作の専門学校へ通い直し、卒業後に独立しました。
「独立」と言っても、本当は全国で幾つかのギター工房を回り、弟子入り先を探したのですが、どこも門前払い。森下君は「断られても何度も頭を下げる根性が無かった」と振り返りますが、そのとき、断られた職人さんのひとりに「手を動かし続けていないと、ただでさえ無い技術が本当に無くなるぞ」と言われたことが心に響き、卒業後もアルバイトの掛け持ちをしながら、製作を続けてくることができたと言います。
そのうちに「自分の作ったギターを好きな人に弾いてもらいたい」と思うようになり、気になるミュージシャンのライブに足を運び、作品を試してもらうようになりました。そうした努力が実を結び、彼の作品を使ってくれる方も少しずつ増えています。
5月3日には、丘峰喫茶店で彼が最初にギターを持って行った「テニスコーツ」という弾き語りユニットのライブを企画しています。ぜひ、遊びにいらしてくださいね。
(2018年4月・朝日新聞滋賀版)